ブックレビュー 『シン・ニホン』
いつも読んで頂きありがとうございます。
久しぶりに心を突き動かされた本に出合いました。
安宅和人著『シン・ニホン』
著者の安宅氏はYahoo!ジャパンの最高経営陣の一員でありながら、慶応義塾大学の教授と政府の諮問会議メンバーも兼ねるという超多忙、超多才な方です。
もともとは生物学の学者志望であった安宅氏、学生時代に縁があってインターンシップに通った「マッキンゼー」という入社超難関の外資系コンサルタント会社で国家を動かすような困難な案件に立ち向かうコンサルタントとの出会いが内なる思いを目覚めさせ、今なお日本という国の将来のビジョン設計、その方策の策定に携わる仕事をしておられる人物です。
今作は、世界中でおよそ20年以上前から急速に進化しているITの歴史、現状、今後の解説。日本の現状、問題点の洗い出し。そして「AI×データ化」時代の日本における今後の課題、その対応法についてデータや実例をもとに丁寧に著してくれています。
そしてなんと言っても安宅氏のこれからこの国を背負って立つべき若者への愛にあふれるメッセージがいっぱい込められた著作であったように感じました。
タイトルである『シン・ニホン』。2016年に公開された庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』から頂いたという話ですが、『シン・ゴジラ』で描かれた日本人の強さと弱さ。
新型コロナウイルスへの対応でも明らかになった自ら考えて行動出来ない、周り(マスコミも含む)に迎合して意思決定する弱さ。しかし国全体で決まった方策やルールに対しては全員で取り組む生真面目さと総力のエネルギー。
これらは一つ間違えると戦争をも辞さない事にもなれば、希望ある未来への取り組みにも同様のエネルギーとなるのでしょう。
私自身が一番印象に残ったこと。「将来のためにリソース配分を見直す」という考えでした。
わかりやすい言えば、今後ますます増えていく高齢者への社会保障の費用を見直し、その一部の使い方をこれからの日本をつくっていく若者への教育、研究機関への予算増へ振り分けたらという考えでした。
もちろん高齢者はこの国の最大の功労者であることは間違いないですが、人生100年時代といわれる中、働けるうちは人生に生き甲斐と遣り甲斐を実感できるよう働いて、少しでも年金や医療費に回る予算を未来への投資に回せる生き方を自分自身実践していこうと思わされた著作でした。
じゃあね。
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