パリでの失敗
いつも読んで頂きありがとうございます。
今回はもう約20年ほど前に行ったパリでの研修の時のエピソードです。海外でも失敗するのです私は。
研修はおよそ2週間。その間、土日を除く毎日はアカデミーでの研修で夕方までみっちり勉強するので、美術館見学などの観光はこの土日を利用して行くのが通例でした。
この時もオランジュリー美術館の目玉の展示物である『睡蓮』の作者クロード・モネが晩年住み、『睡蓮』などの作品を完成させたパリ近郊のジヴェルニーという村へこのモネの家と庭を見物に行こうという事で意気揚々と出かけたのでした。
パリからノルマンディー方面へ行く列車の始発駅として有名なサンラザール駅から仲間4人で出かけた我々でしたが、列車が出発してしばらくはワイワイ楽しく話で盛り上がりながら過ごしていたのですが、なんだか次から次へと駅を通過していくのです。というのも降車駅のジヴェルニーは各駅停車しか止まらないと聞いていたので。
急に不安になってきましたが郊外へ出れば大丈夫だろうと勝手に思っていました。
間もなく車掌さんが切符の検札にやってきて、我々の切符を見るなり少し困惑した様子になり「少し待て」みたいな感じで引き返していきました。
さすがに我々もこの時点では「やっちまったなぁ」っていう感じで覚悟を決めて次に停車する駅で(どこまで行くか見当がつかない特急列車だったようで)降りて引き返すしかないと話し合っていました。
そこに先ほどの車掌さんが戻ってきて話し始めました。フランス語なので全く分からず、キョトンとしていたら英語に切り替えてくれて、我々のために特別にジヴェルニーの駅に1分間だけ停車するので速やかに降りるよう指示してくれました。そしてホームに降りたら改札までの行き方まで教えてくれて挙句の果てに「have a nice trip」だって。いやいや充分ナイスですよ。感謝。
4人で列車から降りてホームを歩いている時の窓から見える乗客たちの驚きと哀れみと怒りの混じった表情はいまだに忘れられない思い出です。
日本で例えると名古屋から新幹線のぞみに間違って乗って豊橋あたりで4人のために臨時停車するみたいなものです。過密ダイヤの日本ではまず絶対にないでしょうね。
現在のフランスでもこのようなことが出来るかはわかりませんが、少なくとも外国人観光客であった私はこの臨機応変さにフランスという国を大好きになったし、また行きたい国ランキングでは常に1位であり続けています。
日本に来て困ってうろうろしている外国人観光客をみると放っておけない気持ちになるのはこの時の良くしてもらった経験からなんだろうなぁ。
あの時のことで今でも後悔しているのは、せめて10ユーロ札をそっと車掌さんに握らせて「これで旨いワインでも飲んでね」ってカッコよく決めとけばよかったな。思えば当時は自分たちが喜んでいるだけで感謝の表現が下手だったような気がしてます。
もう一回あったら今度はちゃんとやろう。じゃあね。
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